PERとは?初心者にもわかる株価指標の見方 ― 「お金社員」採用の失敗から学ぶ割安・割高の考え方 ―
失敗から学んだ「PERを見る大切さ」
前回の記事では、PERを見落とした結果、思わぬ含み損を抱えてしまった体験を書きました。
前回の記事は以下をご覧ください。

当時の私は「株価が安い=割安」だと思い込んでいたのですが、
実はそう単純な話ではありません。
株価の「安さ」や「割高さ」を判断するためには、
PER(株価収益率) を理解することが欠かせません。
今回は、同じ失敗を繰り返さないために、
私自身が学び直した「PERの基本」をわかりやすくまとめます。
PERとは?株価が高いか安いかを判断するための基本指標
PER(ピー・イー・アール)は「株価収益率」と呼ばれる、株の“割高・割安”を測るための指標です。
式はとてもシンプルです。
PER = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
たとえば株価が1,000円で、1株あたりの利益が100円ならPERは10倍。

つまり「この会社の利益の10年分の価格で株を買っている」というイメージです。
PERが低ければ割安、高ければ割高と判断されることが多いですが、
実際はもう少し“背景”を見る必要があります。
私がPERを知らずに失敗した理由
株価が一度下がり、再度上昇トレンドに入りかけていると考えて
サファイア社員を「今がチャンス」と思って採用しました。
ところが、PERは業界平均よりもはるかに高い状態でした(約70倍)。
業績が追いつかずに、株価は下がってしまいました。
当時の私は、「過去の高値より株価が下がっている=割安」と単純に考えていたのです。
でも実際には、PERが高すぎる株は“期待で買われていた”だけで、
期待外れと判断されてしまうとすぐに売られてしまうケースが多いと後から知りました。
PERの平均と業種ごとの違い
PERは業種によって大きく異なります。
イメージがしやすような業種を選んで一部ご紹介します。
| 業種 | 加重平均PER(倍) |
|---|---|
| 製造業 | 21.7 |
| 電気・ガス業 | 7.6 |
| 銀行業 | 14.5 |
| 情報・通信業 | 18.3 |
| サービス業 | 30.7 |
出典:日本取引所グループ(JPX)「規模別・業種別 PER・PBR(連結)」(2025年10月時点のデータをもとに作成)
たとえば、同じPER20倍でも、電気・ガス業なら高め、製造業なら普通といったように、
業種によって“適正PER”は違うのです。
私も今では、気になる企業を見つけたらまず「同業他社のPER」を比較してから判断するようにしています。
PERを見るときの3つの注意点
① 赤字企業はPERが出ない
PERは「利益」を使って計算するため、赤字だと算出できません。
その場合は将来予想PER(予想利益を使う)や過去平均PERを参考にします。
② PERだけでは判断しない
実は、業績が落ち込んでいてPERが低くなっている“罠銘柄”もあります。
PERの他にPBR(株価純資産倍率)やROEもあわせて見ると、より正確な判断ができます。

お買い物に例えると、安くても品質が悪いもののイメージです。
すぐに使えなくなってしまったりして、結局損をしてしまったりしますよね。。。
安くていいものを見つけることが大事だね!
③ 高PERでも割高とは限らない
成長企業は今は利益が少なくても、
将来の成長が期待されているためPERが高くなります。

たとえば、最近よく聞くようになったAIや再生エネルギー関連株などですね。
PERを見るようになり、ここの見極めがとても難しいなと感じています。
経験を積んで自分で感覚がつかめてくるまでは、
高PERの会社を採用するのはリスクが高いので、できるだけ避けるのがおすすめです。

せっかく貯めた資金が大きく減ってしまうのは悲しいですよね。
最初はできるだけリスクの少ない環境で、
小さな成功体験を積んでいくことが、
「投資って怖い」という段階を超えて、投資を続けられるコツです!
どうすれば、高すぎるPERの株を選んでしまうのを避けられるの?

同業他社と比べてみることが大事だと感じています!
見極めの感覚をつかむために、私が実際に行っている方法を
次でご紹介します!
同業他社とのPER比較で「期待」を読み取る
PERを正しく理解するためには、同じ業種の企業同士で比べてみることが大切です。
なぜなら、PERの差は「投資家がその会社の将来にどれだけ期待しているか」を表しているからです。
たとえば、同じ業種でも──
- A社はPERが25倍
- B社はPERが15倍
ということがあります。
この場合、単に「A社は割高」とは言えません。
A社の方が新規事業が伸びている、海外展開を始めているなど、成長への期待が高いためにPERが高くなっている可能性があります。
逆に、業績が安定していても成長が鈍化している企業はPERが低くなりやすい傾向があります。
つまり、PERの違いは「現在の利益」ではなく、「これからの利益」をどう見ているかの違いなのです。
PERを比較するときの3ステップーユニクロを例に比較してみよう

実際にユニクロ(=ファーストリテイリング)を例にPERを比較してみましょう!
同業種の中で時価総額や事業内容が似ている企業を選びます
例:「ユニクロ」(=ファーストリテイリング)の場合
今回は同じアパレル企業
「ワークマン」、「アンドエスティHD」で見てみましょう。
この3社は企画から製造・販売までを自社で行うSPA(製造小売)モデルの会社です。
Yahoo!ファイナンスやMINKABU、各証券会社のサイトなどで確認できます
各サイトの検索窓に会社名や証券コード入れて検索ができます。
2025年10月6日時点のPERです。
・「ユニクロ」(=ファーストリテイリング、証券コード9983):39.91倍
・「ワークマン」(証券コード:7564):27.82倍
・「アンドエスティHD」(証券コード:2685):9.99倍

「ユニクロ」と「アンドエスティHD」は約30倍も差があるね!
決算資料や四季報などを見て“数字の裏にあるストーリー”を探すと理解が深まります。
たとえば、「成長率が高い」「海外展開中」「利益が落ちている」などです
今回の例だと、、、
ユニクロのPERが高いのは、国内市場の安定に加え、海外事業での成長期待が大きく評価されているためだと考えられます。
決算短信から4期連続で過去最高の業績を達成していることもわかりました。
ワークマンは、業績が順調に増えていて、今後海外展開も計画されています。今後の活躍に期待できそうなため、比較的PERは高めだと考えられます。
まだユニクロほどの国際展開力やブランド力はなさそうです。
アンドエスティHDはトレンド変化に敏感なファッション系ブランドが多いため、業績の安定性が低いと考えられます。
決算短信で前年同期比で利益がマイナスになっていました。
営業利益率はユニクロ(約16%)やワークマン(約17%)に比べると、約5%前後と低めなこともあり、急成長する期待が薄いためと考えられます。
まとめ
サファイア社員の採用判断について振り返ったことで、
PERを見る大切さを学ぶことができました。
ユニクロと他社を比較してみると、PERの違いは単に「高い=割高」ではなく、
市場がどの企業にどれだけ未来の成長を期待しているかを示しているということを実感しました。
この気づきは、数字の裏にある“企業の物語”を読み取る力につながりました。
これからもお金社員の採用判断を振り返りながら、
学ぶ姿勢を大切にしていきたいです。
